FAO Watch (No. 22): 2nd Session of COFI Sub-Committee on Fisheries Management
FAO水産委員会(COFI)には3つの小委員会があります。水産貿易小委員会、養殖小委員会、及び、漁業管理小委員会です。それぞれの小委員会の結果はCOFIに報告され承認を受けます。2026年9月7-11日に予定されている第37回COFI(注1)には、第20回水産貿易小委員会(注2)、第13回養殖小委員会(注3)、そして、第2回漁業管理小委員会の結果が報告されることになっています。今回は、2026年2月23-27日にアイスランドで開催された第2回漁業管理小委員会の結果概要を、同小委員会レポート(注4)等を参考に報告させていただきたいと思います。
通常、各小委員会の直後にその結果概要に関するニュースリリースが出るのですが、第2回漁業管理小委員会については、それがなく、正式なレポートが関連ウェブサイトに掲載するまでこの記事を書くことができませんでした。しかし、事前にいくつかの関連ニュースリリースが出されており、そのうち2026年2月23日に出されたもの(注5)には、同小委員会で審議が期待されている主な項目が示されています。それによると、特にデータが不足している状況下及び小規模漁業の漁業管理の強化、漁獲能力の管理、地域漁業協力の促進、及び、社会的要素の漁業管理への統合などが挙げられています。また、アフリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカの多魚種を対象とする多漁具による小規模漁業が、特にデータ不足であるとして、それらのモニタリングと管理をいかに強化していくかも重要な課題とされています。それでは、それらの課題がどのように審議され、結論付けられたのか、レポートを見ていきたいと思います。
第2回漁業管理小委員会は、COFIメンバー国42か国とそれ以外のFAOメンバー国5か国、及び、国連専門機関やその他の政府機関、非政府機関のオブザーバー参加の下、アイスランドのレイキャビクで開催されました。
最初の実質的な議題は、「議題2:漁業資源の保存と持続可能な利用の改善:効果的な管理からの教訓」でした。この議題の下では、過剰漁獲やIUU漁業が効果的な漁業管理にとって引き続き脅威になっていることが再確認され、科学的情報に基づくより強固な漁業管理が求められました。特に、「FAO State of Stock Index」の拡充やいかに資源管理やデータ収集を改善していくかについての報告、さらに、効果的な管理手法をまとめた文書の作成、漁業管理を改善する新技術の情報提供、「Global Programme for Capacity Development in Fisheries Data Collection and Stock Assessment」に関するプロポーザルをさらに精査することなどがFAOに求められました。また、9月に予定されている第37回COFIにおいて、FAOがフラッギング防止条約の実施状況をメンバー国の専門家とともに分析するよう要請するかどうかを検討することも求められました。同議題の下では、他にも小規模漁業の漁業管理への貢献や気候変動や生物多様性の漁業管理への組み込みなども審議されましたが、気候変動に関しては、米国がその立場を明確に表明した上で留保しました。
「議題3:データ及び能力不足下における多魚種対象漁業の評価と管理」の下では、特に亜熱帯のアジア、太平洋、アフリカ、南米地域における多魚種を対象とした多漁具による漁業(multispecies and multigear (MSMG) fisheries)の管理の難しさが指摘され、特にMSMG漁業を念頭に置いた管理の枠組みと手法を開発する必要性が認識され、FAOに対し、MSMG漁業管理のための適切な手法とその評価や管理に関する政策的ガイダンスの提供と能力開発の強化、及び、長期的な技術支援が求められました。
「議題4:漁獲能力の管理:現状と今後の進め方」の下では、「漁獲能力管理のための国際行動計画(IPOA-Capacity)」の重要性が改めて強調され、FAOに対し、その実施に関するメンバー国支援の強化、FAO's Global Record等の漁船登録の更新と維持などが求められました。
「議題5:漁業管理における社会的側面への取り組み」の下では、漁業管理における、特に小規模、伝統漁業に関する社会的側面、及び、漁業の安全性確保の重要性が強調され、「責任ある漁業のための行動規範」や「小規模漁業に関する自主的指針」の履行、並びに、IMOやILOと共同で行われている取り組みなどの継続などが求められました。
「議題6:地域漁業管理」の下では、国際的な漁業管理の枠組みの実施における地域漁業機関の役割の重要性が再確認され、FAOに対して、地域漁業機関事務局ネットワーク(the Regional Fishery Body Secretariats’ Network)などを通じた地域漁業機関間の協調の促進と支援を継続するとともに、公海上のイカ資源に関する資源評価の手法や持続可能な管理手法を検討する専門家グループを設置する提案を策定することが求められました。
同小委員会は、最後に、新しい議長としてインドを選び、アルゼンティン、カナダ、モロッコ、ニュージーランド、英国を副議長として選出しました。第3回会合はインドで開催されることも合意されました。
注1:第37回COFIについては、すでに関連ウェブサイト(https://www.fao.org/cofi/en)に議題案が掲載されています。 COFI 37 SPEAKER’S CORNERという新たな試みも提案されており、楽しみです。第37回COFIについては、事前にその主な議題を俯瞰する記事を、終了後はその結果概要を記事にする予定です。
注2:第20回水産貿易小委員会の結果概要については、2025年9月23日付のFAO Watch No.18(https://www.instituteformarinestudy.com/%E8%A8%98%E4%BA%8B/fao-watch/fao-watch-no.-18/)及びNo.18-addendum(https://www.instituteformarinestudy.com/%E8%A8%98%E4%BA%8B/fao-watch/fao-watch-no.-18-addendum/)をご参照ください。
注3: 第13回養殖小委員会の結果概要については、2025年6月4日付のFAO Watch No.15(https://imsblog.exblog.jp/244042695/)をご参照ください。
注4:第2回漁業管理小委員会のレポート及び会議文書はこちら(https://www.fao.org/cofi/fish-management/en/)から入手可能です。
注5:https://www.fao.org/fishery/news/41533/en
(09 June 2026)